【概要】Yamaha YDS-1(1959)――ヤマハ・スポーツスピリットの幕開け
Yamaha YDS-1は、1959年に登場したヤマハ初の本格スポーツモデルであり、
同社の“速く、軽く、美しい”という哲学を体現した歴史的1台である。
レース活動で培われた技術を惜しみなく投入し、
当時の250ccクラスでは他を圧倒する性能を誇った。
このモデルの登場により、ヤマハは一気に高性能2ストロークメーカーとして世界に名を轟かせることとなった。
開発背景 ― レースで鍛えられた技術の結晶
YDS-1は、全日本モーターサイクルロードレースやマン島TTを視野に入れた設計で、
アルミシリンダーや分離潤滑式のオイル供給など、当時としては革新的な機構を採用。
また、軽量ボディと高回転型エンジンが織りなすパフォーマンスは、
“ヤマハ=2ストロークスポーツ”というイメージを確立した。
【主要スペック(代表値)】
| 型式 | YDS-1 |
|---|---|
| 年式 | 1959 年 |
| エンジン | 空冷2ストローク並列2気筒 |
| 総排気量 | 246 cc |
| 最高出力 | 22 PS / 7,000 rpm |
| 最大トルク | 2.3 kg·m / 6,000 rpm |
| トランスミッション | 5 速リターン |
| 車両重量 | 約 140 kg |
| 最高速度 | 約 140 km/h |
文化的影響 ― 世界へ羽ばたいた“初代ヤマハ・スポーツ”
YDS-1は、その後のYDS-2~YDS-3、そして伝説のRDシリーズへと受け継がれる礎を築いた。
ヨーロッパでは“Japanese Giant Killer”と呼ばれ、
小排気量ながらも高性能な国産スポーツとして高い評価を得た。
このモデルがなければ、ヤマハの“Revs your Heart”精神は生まれなかったといえる。

