【概要】Kawasaki W1(1966)
Kawasaki W1は、1966年に登場したカワサキ初の大型市販スポーツバイク。
当時のメグロ・K1の流れを汲む空冷4ストローク・OHV並列2気筒650ccエンジンを搭載し、
日本メーカーとして初めて英国トライアンフやBSAに真っ向勝負を挑んだモデルです。
力強いトルクと静粛なエンジンフィール、そして重厚なクローム外装が特徴で、
“日本製英国車”とも称されました。
その後、W1S、W2SS、W3と進化し、最終的には1975年まで生産。
現在のW650やW800シリーズへと続く「W系譜」の原点であり、
日本モーターサイクルの成熟を象徴する一台として、今なお高い人気を誇ります。
【主要スペック(代表値)】
| 型式 | W1 |
|---|---|
| 年式 | 1966 年 |
| エンジン | 空冷4ストローク並列2気筒 / OHV(2バルブ) |
| 総排気量 | 624 cc |
| 内径×行程 | 74.0 mm × 72.6 mm |
| 圧縮比 | 8.4 : 1 |
| 最高出力 | 約 47 PS / 6,500 rpm |
| 最大トルク | 約 5.5 kg·m / 5,500 rpm |
| 燃料供給 | キャブレター(φ30 mm × 2) |
| 点火方式 | バッテリー & コイル点火 |
| トランスミッション | 4速リターン |
| クラッチ | 湿式多板 |
| 車両重量 | 約 220 kg(装備) |
| 燃料タンク容量 | 約 17 L |
| フレーム形式 | ダブルクレードル |
| ブレーキ | 前後ドラム |
| 最高速度 | 約 175 km/h |
【解説】
W1は英国バイクを徹底的に研究して生まれた結果、
トライアンフBonnevilleと同等の性能を国産で再現することに成功しました。
ただし、振動やシフトフィールは英国車そのものに近く、
日本車的な洗練とは異なる“味”を持っていました。
しかしそれが逆に魅力となり、現在のW800でもこのメカニカルな鼓動感が忠実に継承されています。
【出典】
- Kawasaki公式ヒストリー「W1 Development Story」
- 月刊オートバイ・アーカイブ(1966年号)
- メグロ工業技術資料(K2開発記録)

