【概要】Honda S90 / CB90(1967)――小排気量スポーツの象徴
1967年に登場したHonda S90 / CB90は、ホンダが築いた“小排気量スポーツ”の完成形である。
軽量・高回転・信頼性を兼ね備えた4ストロークSOHC単気筒エンジンを搭載し、
若者を中心に“通学・通勤兼スポーツマシン”として圧倒的な人気を誇った。
精密機械のような回転フィールとエンジン音は、当時「ミニCB」として愛された。
開発背景 ― 身近な「スポーツCB」
CB72・CB77で培った技術をスケールダウンし、
日常使用にも耐える耐久性と整備性を両立。
50〜125ccクラスの4スト車が主流だった中で、S90/CB90はその性能で頭ひとつ抜けていた。
ホンダの「誰でもスポーツを楽しめる」哲学が凝縮されたモデルといえる。
【主要スペック(代表値)】
| 型式 | S90 / CB90 |
|---|---|
| 年式 | 1967 年 |
| エンジン | 空冷4ストローク単気筒 / SOHC |
| 総排気量 | 89 cc |
| 最高出力 | 8 PS / 10,500 rpm |
| 最大トルク | 0.65 kg·m / 8,500 rpm |
| トランスミッション | 4速リターン |
| 車両重量 | 約 86 kg |
| 燃料タンク容量 | 6 L |
| 最高速度 | 約 100 km/h |
文化的意義
ホンダが“若者のスポーツ文化”を支えたモデルとして、S90は後年のCB125、CBX50などの原点にもなった。
現在もレストア愛好家の人気が高く、当時のカブベースエンジンの限界を引き上げた名機とされる。

