Honda Dream C70 / C75(1959)

Honda

【概要】Honda Dream C70 / C75(1959)――戦後日本を走り抜けた“高級ツアラー”

Honda Dream C70 / C75は、1959年に登場したホンダ初期の中型ツアラーモデルである。
プレスバックボーン構造と空冷4ストロークOHV単気筒エンジンを採用し、
当時の日本では珍しい信頼性と静粛性を両立した実用高級車として話題を呼んだ。
「ドリーム」の名が示す通り、戦後の人々に“移動の夢”を与えた象徴的な1台である。

開発背景 ― “実用+高品質”という新発想

1950年代後半、ホンダは既に小型車で成功を収めていたが、
次に目指したのは長距離・高速走行に耐えるツーリングバイクだった。
C70(250cc)とC75(305cc)は、その第一歩として開発され、
厚みのあるトルクと安定した走行性能で“高級車”として位置づけられた。
ホンダが量産でここまで静粛性を追求したのは、このモデルが最初期である。

デザインと構造 ― プレスフレームの先駆

C70/C75は、スーパーカブに続くプレス成形フレームを採用。
軽量で量産性が高く、整備もしやすい構造だった。
また、当時としては珍しいセルスターター付き電装を装備し、
都市部ユーザーや官公庁車両としても採用が進んだ。
流麗なフェンダーラインと堂々とした外観は、60年代ホンダデザインの原点である。

【主要スペック(代表値)】

型式 Dream C70(250cc) / Dream C75(305cc)
年式 1959 年
エンジン 空冷4ストローク単気筒 / OHV
総排気量 247 cc(C70) / 305 cc(C75)
最高出力 約 18–20 PS / 6,500 rpm
最大トルク 約 2.0 kg·m / 5,000 rpm
変速機構 4 速リターン式
始動方式 キック & セル併用
車両重量 約 160–170 kg
燃料タンク容量 約 13 L
最高速度 約 130 km/h

時代的意義と文化背景

C70/C75は、当時の日本において「マイカーの代替」として活躍。
警察・郵便・観光地の営業車両など公的用途でも多く使用され、
その静粛なエンジン音から「上品なバイク」と呼ばれた。
この時代に培われたホンダの耐久品質と量産精度は、後のCBシリーズへと継承されていく。

【関連リンク】

タイトルとURLをコピーしました