【概要】Honda Super Cub C100(1958)――世界で最も愛されたバイク
1958年に登場したHonda Super Cub C100は、戦後日本のモーターサイクル史を変えた革新的モデルであり、
現在までに累計1億台以上が生産された「世界で最も売れたバイク」として知られる。
この小さな50ccは単なる移動手段ではなく、信頼性・燃費性能・整備の容易さを兼ね備えた“社会インフラ”として機能し、
新聞配達・商店・農村・海外市場など、あらゆる場所で「人々の足」となった。
開発背景 ―「誰でも乗れる、壊れない、安いバイク」
当時のホンダ創業者・本田宗一郎と藤沢武夫は、二輪がまだ贅沢品とされていた時代に、
「日常の仕事に使える実用車」を構想。
その結果生まれたのが、4ストロークOHV 49ccエンジンと自動遠心クラッチを組み合わせたC100である。
クラッチ操作不要で誰でも扱える仕様は、女性や初心者にも大きく受け入れられた。
デザインと機能 ― 機能美の原点
プレス成形によるスチールモノコックフレームは軽量で剛性が高く、
レッグシールドを装備することで服の汚れを防ぐという画期的設計。
この“ユニバーサルデザイン”思想は、のちの全てのスーパーカブシリーズに受け継がれている。
燃費は当時として驚異の約150km/L(30km/h定地)を達成し、信頼性の象徴として世界に名を残した。
【主要スペック(代表値)】
| 型式 | C100(初代スーパーカブ) |
|---|---|
| 年式 | 1958 年 |
| エンジン | 空冷4ストローク単気筒 / OHV |
| 総排気量 | 49 cc |
| 最高出力 | 4.5 PS / 9,500 rpm |
| 最大トルク | 0.38 kg·m / 8,000 rpm |
| 変速機構 | 自動遠心クラッチ・3速ロータリー |
| 車両重量 | 約 65 kg |
| 燃料タンク容量 | 3.4 L |
| 最高速度 | 約 80 km/h |
影響と文化的意義
スーパーカブは単なる実用車を超えた社会現象であり、
「You meet the nicest people on a Honda」という広告キャンペーンによって、
アメリカでも“クリーンで親しみやすいバイク文化”を広めた。
その思想は現代の電動モビリティにまで通じ、ホンダの哲学そのものである。
